かばん修理工房の三谷でございます。
今回は愛知県名古屋市S様からバッグのループの修理をご依頼いただきました。
今回のご依頼品はショルダーベルトを取り付けるDカンを固定しているループ状のパーツが千切れてしまっている状態でした。
このループ状のパーツは、日本のかばん業界では、「もも革」や「根革」などと呼ばれることが多いのですが、一般の方にはイメージしにくい事もあり、当店ではループと呼ばせていただいております。
さて、今回は、千切れてしまったループの強度がかなり弱い状態でしたので、補修などではなく新しくループを作成させて頂くことになりました。
千切れてしまったループから型を取り、新しい革でループを作成します。
出来上がったループにDカンを取り付けカシメで固定致します。
ご依頼品のループ部分は、合皮で出来ておりましたが、こちらは革でループを作成させていただきました。
当店では内袋以外には合皮を取り扱っておりませんので、修理の際は、ほぼ本革での修理とさせていただいております。
修理完了後のお写真はこちら↓↓↓↓
修理完了後の状態をご覧いただきますと、色や質感が元々の合皮に良く合いましたので、素材の違いはほぼ気にならないかと思います。
合皮に関しましては、購入後しばらくは非常に使い勝手がよい素材なのですが、長期感に渡ってのご使用には向かないという点がございます。
その為、負荷がかかる部分は、どうしても破損をしやすくなります。
今回交換したパーツに関しましては、今までのループと比較すると強度もあり、長くお使いいただけますのでご安心下さいませ。
S様この度はご依頼いただきまして誠に有難うございました。
合成皮革のバッグが劣化してお困りのお客様へ
合皮は軽く、雨にぬれても染みにならい、新しいうちは強度も高いなど大変利点の多い素材でございます。
ただ一方で、一つのバッグを長期間に渡って使用したい方には注意が必要です。
合皮は素材の特性上、経年により加水分解という状態が起こります。
このような状態になりますと、ある日突然バッグがもろくなり、簡単に破れたり、バッグの表面がペリペリとめくれる、内袋がベタベタになる等と様々なトラブルを引き起こします。
この症状は、ケアで防げるような物ではございませんので、修理や買い替えなどでご対応いただくのがよろしいかと思います。
しかしながら、なかなか気に入るバッグ、使いやすいバッグが見つからないという場合もあるでしょう。
当店では、お気に入りの合皮のバッグから型を取って本革でお作りするといった事も行っております。
また、非常に多くいただくご依頼として、バッグの内袋の交換がございます。
バッグの内袋には合皮が使用されていることが多いのですが、こちらもご希望であれば、布地に交換することも可能です。
布に交換を致しますと、長い間お使いいただいても、素材が劣化してベタベタするといった事もございませんので、安心してご使用いただけます。
お気に入りの合皮のバッグが傷んでしまってお悩みの方は、是非お気軽にご相談下さいませ。