かばん修理工房の三谷でございます。
本日もたくさんのお問い合わせ、ご依頼いただきましてありがとうございます。
今回は栃木県芳賀郡市のN様からLouis Vuittonのバッグの修理をご依頼いただきました。
ご依頼品はエピ・ディナールのショルダーバッグです。
エピラインは1985年に、誕生した比較的新しいパターンで、風にたなびく麦の穂をイメージして作られました。
上質な牛革に細かな溝の型押しが施されておりシックで落ち着いたデザインが特徴です。
今回のご依頼品は既に廃盤になっているモデルですが、エピは耐久性が高いこともあり全体的に大変綺麗な状態でございました。
無駄な装飾が削ぎ落とされているからこそ、エピの特徴である革のテクスチャや華奢な持ち手の美しさが際立っていますよね。
今回のご依頼品はこの持ち手の革が部分的に剥がれてしまっている状態でございました。
こちらの持ち手は2枚の革を接着のみで貼り合わせている為、このような症状がどうしても起きやすくなっております。
剥がれている部分を再度接着をするだけでも補修は可能ですが、一度剥がれた場所は何度も剥がれてくることが多くあります。
また、剥がれた部分の革が伸びておりますと、接着はできても革がヨレてしまい綺麗に収まりにくいといった事もあります。
そこで今回は新しく持ち手を作成させていただくことに致しました。
その際に、元々は6ミリ幅で作られていたストラップを、8ミリ幅に変更するようご提案させていただきました。
このバッグの魅力はその華奢な持ち手にもあるのですが、一方で接着の剥がれやすさという点では懸念が残ります。
そこで、外観の印象が大きく変わらない程度の2ミリをプラスしてお作りさせていただくことに致しました。
まずは2枚の革を張り合わせ、大まかに裁断致します。
その革を裁断機で正確に裁断し、紐状になった革のコバに専用のコーティング剤を塗布します。
完成した持ち手をバッグにお取り付けして完成です。
今回の作業のポイントは革を均一に裁断するという点です。
このように書くと当たり前のようですが、今回のように細い革を裁断するというのは、非常に難しいのです。
私も初心者の頃は、上手く裁断ができず一本の持ち手を作るために牛革一枚を使い切ってしまった程です。
現在は裁断機を使用しておりますが、それでも細い革を裁断する際には歪みがでないよう慎重に行っております。
修理完了後の状態はこちらです↓↓↓↓
大きく印象を変えることなく、強度を高める事が出来たと思います。
やはり持ち手がこのバッグのアクセントになっていますので、全体を修理したわけではないのに、お鞄全体が新しくなったような印象ですね。
N様、この度はご依頼いただきまして誠に有難うございました。
この先も長くご愛用いただけます事を願っております。
【お客様の声】
かばん修理工房
三谷様
この度はお世話になりました。
思った以上の出来栄えで大変満足しております。
またしばらく数年間使用できます。
ありがとうございました。